【読書レビュー】孫子の兵法【偽善のない冷徹なノウハウ本】

2019年11月1日

【読書レビュー】孫子の兵法【偽善のない冷徹なノウハウ本】

こんにちは

yoshi(@yoshiblogsite)です。

今回は守屋洋さんの知的生き方文庫から出ている「孫子の兵法」を読んだのでその読書レビュー記事となります。

孫子の兵法

いまさら説明するまでもないかもしれませんが、今から2500年以上も昔、キングダムの春秋戦国時代の頃に生きた「孫武」による兵法書とされています。

孫子の兵法として兵法をまとめる以前、戦争の勝敗は「天運」によって決まるというのが主流だったので、天の運に任せず自らの力で運命を切り開く方法をまとめ、それを実際に現代まで通用するクオリティでまとめたこの教えは、とてつもない発明だったと言えるでしょう。

そして2500年以上たった現代までに、ビル・ゲイツ、孫正義、ナポレオン、徳川家康、武田信玄、諸葛亮孔明、曹操など数え切れないほどの支配者層が愛読書として活用してきました。

それは集団となった人間の心理をことごとく見抜いていて、しかもそれだけに飽き足らず「この場合はこうすべし」というノウハウ書としてまとめ、その上非常に簡潔でムダがないからとされています。

僕たちは戦争を直に指揮することはまずありませんが、ビジネスマンがこぞってこの本を読み、ビジネスに応用できているのは「集団となった人間同士の争い」はWarだろうがBuisinessだろうが本質は同じだということなのでしょう。

そしてそれは中国人に限った話ではなく、東洋でも西洋でもおそらく全世界の「人間集団」に通用するであろうところがまた恐ろしい書だと思います。

ちなみに2500年以上前の書なので、現代のビジネスの現場に応用するには理解した上でイメージして現代のビジネス現場に当てはめなければいけないので、解説書をベースに読んでいくのがいいだろうなと思います。

孫武はどんな人か【冷徹で論理的】

孫武の思考がわかりやすいエピソードがあるのでご紹介します。

呉の国王闔廬に孫氏がまみえたときのことです。

闔廬は、「そちの書いたものは読んだが、実践ではどうか、ちょっと試しに軍隊を指揮してくれ」といった。

孫子が「よろしゅうございます」というと、闔廬は「女どもで試せるかな」といって、宮中の美女百八十人を集めた。

孫子は女たちを左右二対に分けて、王の愛姫二人をそれぞれの隊長にした。一同に戟をもたせ、太鼓による合図を教えた。いざ太鼓を打っても女どもはキャーキャー騒ぐばかりで話にならない。孫子は「とり決めが徹底しないのは、将軍たるわたしの責任だ」と言ってまた繰り返し合図のとり決めを申し合わせる。そこで太鼓を打ったが、女たちは笑うばかりでいっこうにらちがあかない。

すると孫子は「申し合わせは徹底しているのに、命令がゆき渡らないのは監督の役人の罪だ」と王の二人の愛妾を殺してしまった。

すると今度は声を立てる者もなく整然として命令が徹底した。そこで孫子が「軍はすっかりととのいました。王さま下りてご覧下さい。王さまのお望みのとおりに動かせます」と言ったが、妾を殺された王は気が晴れずに、「将軍は休息をとって宿舎に帰られたい。わしは下りて観る気がしない」といった。それを聞いた孫子は「王さまはただ兵法のことばづらを好まれるだけで、兵法の実際の運用はおできにならないのですね」といった。

孫氏伝

命令を徹底させてもいうことをきかなければ、そのシステムを動かすために遠慮なく首を切る(文字通り当時は首を切断していたのでしょう。)という思想。

あくまで「個人」ではなく「集団」を動かすための思想だと捉えるとしっくりくるかもしれません。

この本はどんな本か?

孫子の兵法はできてから2500年以上もたっていますから、数え切れないほどの解説書が出版されてきています。

今回はたまたまKindleUnlimitedで目にはいってきたこちらの本を読みました。

ちなみに、やや中国推しの人のようで日本はダメだ、アメリカはダメだ、のような色が入ってくるのでそういうのが気になる方にはおすすめしません。

また、現代のビジネス現場を例に出しているところもありますが全ての例がそうではなく、各国の戦国時代、戦争を行っているときの結果について書いて孫子の兵法の正しさを証明しようとしているところもあるので、「いやいや孫子の兵法は正しいでしょ。そういうのは不要。現代にも当てはまる豊富な例がほしい」という方にも他の本のほうがいいように思います。

ただ、漢文と一緒に解説が入ってくるのでそれらを一緒に読みたい方や、「孫子の兵法なんて眉唾ものだなぁ」と思っている方には、歴史上の事実も豊富に載せられているのでおすすめできると思います。

個人的なお気に入り紹介

というわけで、この本で気に入ったフレーズとともに自分なりの感想を書いていこうと思います。

【戦わずして】勝つのがベスト

戦わないで敵を降服させることこそが、最善の策なのである。

一番お気に入りはこれです。

戦いになった瞬間に、自らの無能さを痛感してもいいくらいでしょう。

優れた人間は、絶対に争うことはしませんし負ける側は気づかないうちに負けているのです。

【戦う前に】勝つ

戦争のしかたは、次の原則に基づく。

十倍の兵力なら、包囲する。

五倍の兵力なら、攻撃する。

二倍の兵力なら、分断する。

互角の兵力なら、勇戦する。

劣勢の兵力なら、退却する。

「戦ってるやん」と思いますが、人間は全知全能ではないので戦わずして勝つことは難しいこともあります。

そんなときは「戦う前に勝っている」状態に持っていきます。

ひたすら無理がなく、合理的で自然なのが孫氏です。

そして無理しないと勝てないのであれば、それは撤退する。

非常に優秀な管理職、支配者層は引き際を絶対に見誤ることがありませんよね。

ビジネスの現場でも無理してはいけない瞬間が絶対にきますが、優秀な人は引き際を間違えません。

ゴーサインは勇気(無謀なときも)さえあれば誰でもかんたんに出すことができますが、「戦略的撤退」には知力と精神力までもが必要です。

戦略的撤退ができる人は一気に少なくなります。

流れにのる

したがって戦上手は、何よりもまず勢いに乗ることを重視し、一人ひとりの働きに過度の期待をかけない。

副業や現代ビジネスにもかなり通じるものがありますよね。

流れに乗れば非常に楽です。

一人ひとりの働きに過度の期待をかけないとは、一つ一つの仕事の品質が高くなくても勢いに乗ればそちらのほうが圧倒的であることを指しています。

徹底的な品質を追求した結果時間を賭けてしまい、勢いに乗れなければそれは全くの無価値です。

今であれば時代の流れは明らかに「プログラミング」です。

1つ1つの仕事や品質に過度に気をつけなくてもかなりうまく回ります。

要するに、高給取りのプログラマーは無理でもちょっと勉強すればそこそこのプログラマーとして食っていくのは今の時代であれば勢いがあるので非常に楽です。

ライフワークではなくライスワークをするのであればこの状態を目指すのが良いと思いますが、自ら大変な仕事を「好きでもないのに」選ぶ人が理解できません。

僕自身プログラミングで飯を食っている一人ですが、なぜ多くの人が多少頑張ってもこの技術を身につけないのか非常に疑問です。(僕の場合はプログラミングは若干ライフワークが入っています。)

アパレルや飲食店のような薄給で過重労働の仕事と比べると天と地ほどの差がある仕事です。

勢いに乗るのが大事ですからサクッとプログラミングを学んでサクッと働き始められるように「TECH::CAMPとTECH::EXPERTの評判【本当に良いのか?他のプログラミングスクールとの比較まで】」でホリエモン絶賛のプログラミングスクールを紹介しているのでよければこちらの記事もご覧ください。

水のように生きる

戦争態勢は水の流れのようであらねばならない。水は高い所を避けて低い所に流れて行くが、戦争も、充実した敵を避けて相手の手薄をついていくべきだ。

水は穏やかに流れているときは障害物があっても緩やかに避けて流れていきます。

せき止められれば溜まっていきます。

花瓶に入れられればその形に変化します。

また、いざ大洪水や大津波となれば神話に出てくるように全てを飲み込み破壊する恐ろしい力を発揮します。

圧縮すればダイヤモンドすら切断する力も持ちます。

水はその全てに無理がなく、柔軟で変幻自在、柔らかく弱いと思えば山をも崩し去る力を発揮することもあります。

水のイメージをもって生きることが理想でしょう。

上に立つものが陥ること

将帥には、おちいりやすい五つの危険がある。その一は、いたずらに必死になることである。これでは、討死をとげるのがおちだ。その二は、なんとか助かろうとあがくことである。これでは、捕虜になるのがおちだ。その三は、短気で怒りっぽいことである。これでは、みすみす敵の術中にはまってしまう。その四は、清廉潔白である。これでは、敵の挑発に乗ってしまう。その五は、民衆への思いやりを持ちすぎることである。これでは、神経がまいってしまう。

特に「その4,5」は一見善人にみえるので注意しなければなりません。

1,2,3を乗り越えることができる人は多いと思います。

世間的にも悪い性格であると認知されているからです。

しかし4,5は世間的には正しいふるまいだとされていますが、上に立つものとしては非常に危険であることが示唆されています。

上に立つものが崩れれば、それはその下につくもの全てが崩れ去るということですから、一見善人に見えても実は非常に危険な人物になってしまうのです。

立場とその人が背負っている規模によって使い分けることが重要でしょう。

死地

兵士に死力をつくして戦わせるためには、死地に置くことだ

上に立つときには、「疑似死地」をいかに創り出すかは重要だと言えるでしょう。

うまく創り出すことができれば人間は素晴らしい力を発揮します。

しかしこれは非常に危険で、ただそのままに死地においたらそのまま死にます。

現代風に言えば退職、転職してしまいます。

圧倒的に優秀なリーダーの元で、あえて現場には知らせずに「死地」だと思い込ませることで勝利に導く戦略なので安易に使えるものではありません。

そして上に立つものが、この「疑似死地」を作り出そうとしている可能性を考えているということは、知っておいていいでしょう。

戦略不足のリーダーがこれを使った時、僕たちはまさに地獄をみてその上負けます。

背水の陣も同様で、これも死地です。

自分の人生で使う場合、入念な下準備のもとで計画的に自分自身を死地に置くように人生をプランニングしないと、本当に取り返しのつかない失敗を犯すかもしれませんから注意しましょう。

サクッと学ぼう孫子の兵法

オリラジ中田さんのYoutube大学でもがっつり孫子の兵法をやっていたので、こちらをみると全体像が頭にインプットされるので理解がしやすくなると思います。

さすが話のプロである芸人。孫子の兵法なんて小難しいものに興味をもつ人であれば、飽きずに最後までみれるのではないでしょうか。

まとめ:【読書レビュー】孫子の兵法【偽善のない冷徹なノウハウ本】

いかがでしたでしょうか。

孫氏は個人主義からすると非常に冷酷に映るかもしれません。

あくまで天下国家、会社組織といった人間集団を勝利に導く思想でしょう。

1人を殺せば100人が助かるなら迷わず1人を殺すのが正義となるような政治の世界の話です。

しかし、それが2500年以上たった今でも廃れずに受け継がれ続け、実際に権力者たちがこれを参考にしているというのは、この世の真理が書かれているのではないでしょうか。

KindleUnlimitedなら無料で読めるので、今回の記事で「ちょっと孫子の兵法気になるなぁ」と思う方はざっと読んでみてはいかがでしょうか。

お金を出す場合は、他の孫子の兵法の解説書も山ほどありますし、日本の得意とする「マンガ」での解説本もあるのでお気に入りの「孫氏の兵法解説書」を探すのもいいでしょう。

いろいろな解説書を読んで孫氏の兵法コレクションするのも面白いかもしれませんね。

孫氏の兵法を学び、常にそれを忘れないようにできれば一生戦術に困ることはなくなりそうです。